2011-03-04
数年前のことです。とある友人が、あなたが変わらなければまわりも変わらないと人からいわれ、「私はなにも悪いことをしていないのに、なんで私が変わらなければならないのか」と怒っていたことがありました。
私は「なにも別人になれということではないだろう。たぶん、本来の自分に還りなさい、っていいたいんじゃないかな」と話しました。
私自身、今の私が本来の自分自身に還っているとは思えません。対人関係のための防具、ときには刃も懐に隠し持っているやもしれません。
この厳しい社会で生き抜くために、私たちはさまざまな生きる術を習得してきました。ときには人を疑い恐れ、自分の身を守るための装備を身につけてきたのです。それは必要不可欠なことでもありました。高い山に登山するには、それ相応の準備と体力づくりが必要です。冬の季節に、夏のような生活は難しいでしょう。
私は私。あなたはあなたの「まま」がいちばんきれいだと思います。
太陽さまがお月さまに向かって、私のように明るく情熱的になりなさいといわれても、お月さまは困ってしまいますよね。私ができるのだから、あなたにもできるはずだ。私が過去に乗り越えられたのだから、あなたにも乗り越えられるはずだ。ほんとうにそうでしょうか?
おなじような体験をされても、人によってそれぞれの受けとめ方、傷つき方、学び方が異なります。だからこそ、人間関係は難しいのです。おなじ制服を着ていても、中身は「男もいろいろ、女もいろいろ、人生もいろいろ」です。
ときには、本来の自分探しをしてみるのもよいかもしれませんね。お風呂に入るときには裸になるように、ときには防具を脱いで、「素の自分になる時間や時期も必要なのかなと思っています。