2011-05-20
こんばんは、レディ・ポルシャです。
今日は東京電力の決算発表がありました。
前期が1、300億円の黒字だったのに対して、
当期末は連結上、1兆2、000億円の赤字となりました。
1兆円を超える損失額というのは過去最高の損失だと思います。
その一番の原因は災害特別損失(と、その引当金繰入額)でしょう。
災害損失引当金は前期にも計上されていましたが、
前期までは928億円だったのが、当期の災害損失引当金は8、317億円、と桁違いに計上されました。
その半分近くは、特別損失の内訳に注記された原発関連の安全確保のための費用のようです。
しかし、です。
この引当金というのには計上するのに要件があります。
1 将来の特定の費用または損失であって、
2 発生が当期以前の事象に起因し、
3 発生可能性が高く、
4 金額が合理的に見積もれること
この4つの要件を満たさない限り、引当金というものは計上されないものなのです。
つまり、東日本大震災を原因として、原発に関連し発生する可能性が高い費用であっても、
それが合理的に見積もれないものについては、いまだ計上されていないことになります。
単純に、
‘原発が壊れてそれを直す費用’
とか、
‘漏れてるとこを修理する費用’
というのは計上されているのだと思いますが、
風評被害に対する補償金額であるとか、
今後出てくるかもしれない健康被害に対する補償額というのは
‘金額が合理的に見積もれ’ないので、計上されていない可能性が高いのです。
見積もれただけで1兆円なのだとしたら、
いったい見積もりできない部分を含めたら、
どのくらいの損失になるのでしょうか。
あくまで私見ですが、見積もりできていない部分のほうが、ずっと多いのではないのでしょうか。
原子力という大きなエネルギー源、利益源を手に入れたと同時に
大きなリスクを背負ったのは東電だけではなく、私たちも同じです。
1兆円という金銭だけで済めばよいのですが、
どちらかというと、現在の時点では金額として算定できていない部分に
もっと重い意味があるのでは、と個人的には思っています。
たったひとつの会社の決算発表ではありますが、
これほど、出された数字から様々なことを考えたことはありません。
今後もこの数字の裏にある事態、そして意味について、
自分なりに考えていきたいと思います。
(決算数値に対する見解はあくまで私見ですのでご了承ください)