2026-08-06
「自分がどうしたいのか、分からないんです」
そう静かに話し始める方に、私はこれまで何度もお会いしてきました。
実はとても多いお悩みのひとつです。
やりたいことが、まったくないわけじゃない。
嫌なことばかりが続いているわけでもない。
それなのに、いざ選ぼうとすると、手が止まってしまう。
前に進みたい気持ちは確かにあるのに、足だけがそこに縫い付けられたように動かない。
そんな感覚に覚えがある方は、きっと少なくないと思います。
恋愛でも、人間関係でも、仕事でも、起きていることは同じです。
相手のことを優先して考え続けたり、周りの期待に応えようと精一杯がんばったり。
そうやって毎日を過ごしているうちに、いつの間にか自分の気持ちだけが、そっと後回しにされてしまう。
そして気づけば、
「私は、本当はどうしたいんだろう」
という、いちばん大事なはずの問いへの答えが、霧の中に隠れてしまっているのです。
本当は好きなのか。
本当はこのまま続けたいのか。
本当はもう、離れたいのか。
不思議なもので、答えを出そうと必死になればなるほど、かえって分からなくなってしまうことがあります。
こういう時、多くの人は焦ります。
早く答えを見つけなきゃ。
早く決めなきゃ。
早く前に進まなきゃ。
そんなふうに、自分を急かしてしまうのです。
でも、少し立ち止まって考えてみてください。
自分の気持ちがまだ見えていない状態で、無理やり答えを絞り出してしまうと、あとになってその決断が、じわじわと自分を苦しめてしまうこともあるのです。
だから、本当に大切なのは「正しい答え」を急いで探すことではありません。
自分の気持ちを、少しずつ、丁寧にほどいていくこと。それだけで十分なんです。
「本当はどうしたいのか」
その問いに、今すぐ答えられなくても、まったく大丈夫です。
まずは、もっと手前にある小さな問いから、そっと覗いてみませんか。
何が、こんなに苦しいのだろう
何が、ずっと引っかかっているのだろう
何を、こんなにも恐れているのだろう
そんな場所から一つひとつ見つめていくと、ぼんやりとしていた気持ちの輪郭が、少しずつ浮かび上がってくることがあります。
実際、ご相談を受けていて、何度も見てきた光景があります。
最初は「どうしたいか、自分でも分からないんです」と俯きながら話されていた方が、ゆっくりと気持ちを言葉にしていくうちに、ふと顔を上げて、
「私、本当はこう思っていたのかもしれません」
と、ご自身で気づかれる瞬間です。
あの瞬間の表情を、私は何度も見てきました。
答えというのは、誰かから与えられるものではなく、もともとあなたの中に、ちゃんとあることが多いのです。
ただ、今は少し、見えなくなっているだけ。
もし今、
何を選べばいいのか分からない。
どうしたいのか、自分でも分からない。
そんな場所に立ち止まっているとしても、無理に結論を出そうとしなくて大丈夫です。
一人で考え続けていると、かえって見えなくなってしまうものもあります。
気持ちを整理したい時、頭の中の靄を言葉にしてみたい時は、どうぞ一人で抱え込まないでください。
私でよければ、そのお手伝いをさせていただければと思います。
焦らなくて、大丈夫。
あなたの答えは、きっと、あなたの中にあります。