天巫泰之先生の日記

2022-01-20

リアルの素晴らしさは「不自由さ」にある

※いつも誠にありがとうございます。
 しばらくお休みします。また再開しますので、よろしくお願い致します。


人それぞれの好みがありますから、これが正しいということはないと思っています。
私の好みはリアルです、本物、実際のぬくもりです。

正直な話、私もしんどいのは嫌です。できたら毎日楽しくて辛いことがないほうが楽でよいと思います。
ですが、たまにご褒美として楽しいことが起きたりします。
積み重ねてきたこと、がんばってきたことが報われて成功を手にすることもあります。


浅草の演芸場で、芸人さんたちがネタをやっていました。
テレビでみるよりもおもしろく感じました。
ライブの舞台、観客がいる舞台はテレビでは伝わってこないなにかがあるようです。

音楽ライブも、その場にいるのとライブ動画ではまるでちがいます。
私も演奏者として、撮影された演奏よりも、ライブ会場のほうが観客の熱気を感じて、緊張感といつも以上の力が発揮できます。

森に入ると、樹木たちのささやきが聞こえてきます。
そして、森ならではの匂い。

私が生まれた漁村に行くと、潮の香りと懐かしい思い出が、寄せ来る波と一緒に押し寄せてきます。

花の香り、人の匂い、今は亡きミャーの匂い。

将来、VRが進化して、痛み、匂い、香り、風を感じさせることができる時代がやってくるかもしれません。リアルとかわらないなら、VRでもと思うかもしれません。

私もVRをみたことがありますが、すごい立体感があります。その場にいるような感覚がありました。

ほかのVRの映像ではかんたんに宇宙を臨場感たっぷりにみることができるそうです。
電車や車に乗らなくても瞬時に、世界各地の観光旅行を味わえるらしいです。
女性ともリアルに交際できるものもあるそうです。

ですが、私が思うに、リアルのすごさ、素晴らしさは「不自由さ、めんどうくささ」にあると思っています。

かんたんなものは、思い出に残らないものです。
努力を重ねて、耐え忍んで、なんども挫折して、ようやく成功を手にしたとき、涙を流すほどの喜びがわきあがってくるでしょう。

M1で、錦鯉さんたちが舞台で泣いていたように。審査員までが泣いていたように。

苦労して得られたものこそが財産になると思っています。

万能のスーパーヒーローが活躍している映画でも、弱点があり、困難と障害を乗り越えて敵を撃退するからこそ映画がおもしろくなるのです。
一瞬にして敵をやっつけていたら、誰がそんな映画を楽しいと思うでしょう。

リアルの世界はしんどいことばかりです。
仏教の釈尊の教えであります、「八苦」です。

「四苦」は生きること、老いていくこと、病にかかること、死んでいくこと。
あとの四苦は愛するものとの別れ、恨み憎むものと会うこと、求めているものが得られないこと、心身から生じてくるさまざまな苦しみ。

八苦にはよくわからないものもありますが、四喜もあるのではないでしょうか。
死んでこの世から解放されていく喜び、愛するものと出会い、愛し合える喜び、求めているものが得られる喜び、病が癒やされていく喜び。

それらの喜びも仏教の教えである「諸行無常―すべてはうつり変わるもの」というものによってかき消えていくものかもしれません。
喜びが苦しみにかわることもあるでしょう。
ですが、苦しみが喜びに転換することもまたありだと思います。

すべてが順調のなかでは、楽しい出来事は日々の生活のなかに埋没し、思い出には残らないものとなるでしょう。

リアルの素晴らしさは、現実のしんどさにあるのだと思っています。
だから、生きていさえすれば、なんとかなっていきますから。
だからこそ、生きていて、ほしい。


               (了)

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